認知症の症状かも? 「寒いのに薄着」など季節外れの服装
2016.11.9
認知症の高齢者を見守るご家族の中には、「寒い日なのに夏のような薄着でいる。注意したら怒り出した」「変な格好はさせたくないのだけど…」とお悩みの人がいます。本人の体調を心配して、無理にでも着替えさせた方がいいのか、放っておくべきなのか…。
一体、どのように対応するのが正解なのでしょう?
「認知症では?」と気づくポイント
あなたの身内の人が、ついさっき聞いた話をすぐ忘れるようになったり、自分の現在いる場所が分からなくなったりすることが増えてきたら、それは認知症の初期症状かもしれません。前者は記憶障害、後者は見当識障害の疑いがあります。
認知症は進行性のものですから早期の発見が大切なのですが、場合によっては認知症かどうか判断しにくい場合もあります。
日常生活で起こりうるポイントとして、
- ・何度も同じ内容のことを聞いてくるようになった
- ・ちょっとしたことですぐ怒るようになった
- ・物を忘れがちになった
などが挙げられます。
これらは、認知症でなくても年齢を重ねれば経験することですが、今までそんなことが無かった人にこれら言動が現れてきた場合などは、今後注意して生活を見届けるようにしましょう。
さらによくあるのが「服装の変化」です。こちらは「身なりがだらしなくなる」「その人らしくない恰好をする」などがあります。とりわけ「季節外れの服装を着る」というのは認知症の人の行動例として聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
どうして季節外れの服装? そのメカニズム
もともと高齢者の場合、若い頃より皮膚感覚が低下するため、気温調節能力も鈍ります。従って、高齢者が夏に長袖を着込んでいる姿は特に珍しくありません。だからといって、肌寒い冬なのに薄着で冷房をつけていたり、逆に暑い夏なのに冬服を着込んで暖房をつけているほどになれば、これは問題です。
認知症の症状である記憶障害や見当識障害に伴い、判断力も低下するため、暑さや寒さに対する正しい判断も失われて、このような行動をとってしまうことになるわけです。
加えて、寒暖の感覚以上に、冬に夏のような服装でいて不自然に思わなくなっていることが問題です。自分の服装が周囲と比べて明らかにおかしいのに、それに気づかないというのは、認知症における判断力の低下の症状の現れでしょう。
大切なのは本人を尊重すること
こういった認知症の人への対応として、「相手の意見に同意し、そのままにしておくこと」も1つの重要な手です。
たとえ冬に薄着をしていても、無理に着替えさせたりせずに、まずは本人のしたいことを尊重するという対応方法です。そうすることで、本人のプライドは保たれ、家族や周囲のストレスも半減するはずです。 ただ注意としては、冬に風邪をひいてしまうほどの薄着や、夏場の脱水症状が心配される時は注意して見守ってください。本人に悟られないように室温を少しずつ変更したり、肌着を気温によって厚いものや薄いものにするなど、工夫をするのも良いですね。
認知症の方を介護している人は、専門医やケアマネジャー、あるいは介護経験者などその道の専門家に相談してみて、認知症についての幅広い知識をアドバイスしてもらいましょう。
参照:認知症に対応した住宅改修の計画手法 参照:認知症への対応について記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)