高齢者や障害者も自由に移動できる? 自動車の自動運転システム
2016.11.4
最近、自動車の自動運転に関するシステム開発が激化しています。
「車を操作しなくても安全に目的地まで連れて行ってくれる」。これは人間の1つの夢ともいえるかもしれない、車の機能です。
ここでは、実際に導入された場合のメリットと問題点についてご紹介します。
自動運転車への取り組み
さまざまな企業で、自動運転の技術開発に力が注がれています。 2015年には、無人タクシーの運営が実証実験に入り、トヨタ自動車では高速道路を自動運転するデモンストレーションが行われました。
ロボットタクシー株式会社では、2020年の東京オリンピックでの走行実現を目標として、さまざまな自治体と協力して実証実験を行っています。
2015年10月1日に、神奈川県藤沢市で自動運転タクシーの実証実験が行われました。
実験の内容は、乗客の自宅からスーパーマーケットまでの走行を自動で行う、というものです。藤沢市に住む約50人をモニターとし、実験の結果から乗り心地やサービスなどの改良がされています。
グーグルでも自動運転車プロジェクトが進んでいます。グーグルはどのメーカーよりも実験を進めており、2012年には公道試験が行われました。
テスト走行距離は2016年10月に322万キロメートルを突破し、他のメーカーから群を抜いています。そして、発生した事故も相手側のミスによるもらい事故だけでソフトにミスはなかったのです。
自動運転のメリット
自動運転技術が実現化した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
私たちが暮らすためには、さまざまな交通手段が必要ですが、都市部では電車が網の目のように張り巡らされているため、車がなくても不自由に感じることはないかもしれません。
しかし、過疎化が進み電車の数が減ったり廃線してしまったりした地域では、自動車が生活する手段となります。
地方になるほど車の所有率が高くなりますが、誰でも運転できるわけではありません。
運動能力の衰えた高齢者や子ども、障害のある方が1人で移動することは困難です。
そこで、この自動運転車が大いに役立ちます。
先にご紹介したロボットタクシー株式会社では、ロボットタクシーを以下の点で活用することを紹介しています。
- ・病院や介護施設を巡回する送迎として
- ・廃線になった電車やバスの代わりとして
- ・海外からきた観光者を案内約役として
また、グーグルでは視覚障害をもつ高齢者をモニターとして運転席に座ってもらい、ドライブスルーで食事を購入して、自動運転されている車中で食事をしながら帰ってくるといった映像が公開されています。
このように、自動運転技術があることで、今まで1人では車で移動できなかった人の自由度を上げることができるのです。
自動運転の問題点
現在日本の道路交通法では、運転席に運転手が座ってハンドルを握っていなければいけません。
現在の実験でも、運転席には乗務員が座り緊急時に対処しています。この法律のままでは先に挙げた、介護・病院施設の送迎などに活用することができません。
政府は今後実験がうまく進んだ場合、法律の改正を行って2020年の東京オリンピックまでに実用化することを検討しています。
また、訴訟リスクも問題点のひとつです。
運転という行為に対してメーカーが関与することになります。そのため、運転に対してメーカー側も責任を求められることになります。この点から企業や整備への訴訟リスクが高まることが予想されます。
自動運転にはメリットが非常に多いものの、そのリスクは高く、難しい問題が多いものばかりです。
今後、自動運転に対する整備がどのようにされるのかが注目です。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)