便秘は高齢になるとなりやすい?―その原因と解消法
2016.10.28
年齢を重ねていくと身体のいたるところに変化が生じ、若い頃にはなかった症状も出てきます。便秘もその一つで高齢になると便秘の症状が出やすくなります。放っておくと悪化して、さらに症状が重くなる場合もあります。なぜ高齢になると便秘になりやすいのか、日常生活から見えてくる主な原因と対策法について見ていきましょう。
高齢になると便秘になりやすくなる原因とは
・筋力の低下が腸の動き(ぜんどう運動)を悪くさせる
身体的な衰え、特に筋力の低下に起因するものです。筋力が落ちることで腸の動き(ぜんどう運動)に支障をきたし、その結果、腸が便をスムーズに流動できなくなります。これがもとで腸が便の水分を必要以上に吸収してしまい、固形化し流れにくくなった便が腸内に残り、便のつまりを引き起こすのです。
・高齢者に見られる食生活
高齢になると少食になりがちです。こうした食事量の少なさが腸内の動きの機能低下を招き、便秘になりやすくさせます。こうして活発な腸の動きが損なわれると、定期的な排便をする習慣に乱れが生じてしまうのです。
・薬の服用による影響
服用する薬の副作用として便秘を引き起こすことがあります。こうした影響が出やすいものに「抗生物質」や「抗うつ剤」などがあります。医師から処方される際には確認し、薬の注意書きにもよく目を通しておきましょう。
そうは言っても、このような影響が出やすいと言われる薬も必要だから飲んでいることに変わりはありません。薬を服用する中で、どうしても副作用が辛いというようであれば、医師に相談してみると良いでしょう。
また高齢で便秘になると、他の器官にも支障が出るようになります。例えば腸が不調になると胃にも悪影響を及ぼし、消化不良になりやすくなります。栄養を吸収する機能が衰えると、体力の維持ができなくなり、抵抗力の弱さからあらゆる病気にかかりやすくもなります。
日常生活で心がける解消法
では便秘を解消するためには、どのようなことを心がければ良いのでしょうか。高齢者が意識して取り入れるべき生活習慣を挙げていきます。
・小まめにトイレに行く
1日の中でいつ何回トイレに行くか、あらかじめ決めておきましょう。高齢者は便の量が少なくなり、トイレに行く回数も少なくなりがちになってしまいます。便意が無くてもトイレに行って排泄する習慣を持つようにしましょう。理想はトイレに行くことで、反射的に便意をもよおすよう、体に覚えさせるようにしたいものです。
・日常的な運動を心がける
筋力の衰えを阻止するために、日頃から運動を心がけましょう。毎日数十分のウォーキングでも十分です。膝を伸ばして体が地面に対して垂直になるような姿勢で歩くことが理想です。それだけで腹筋は維持できることでしょう。それが腸の動きである「ぜんどう運動」を刺激し、元気な腸を取り戻せます。
・水分の補給と各種栄養摂取を心がける
水分を補給すると、腸内で硬くなった便が水分を吸収し、流れやすくなります。高齢になると激しい運動をする機会が少なくなるため、身体に補給する水分量が減る傾向にあります。脱水症状を防ぐ意味でも、小まめに水分を補給することを心がけましょう。また乳酸菌や食物繊維を摂ることも大切です。これらの栄養素は腸を整え、便を出しやすくする効能があります。
病気はなる前に予防することが大切で、便秘にも同じことが言えます。便秘予防には、まず健康的な日常生活を送ることが大切です。高齢になるに伴って起こりやすくなる身体の変化を知り、自分の体の声に耳を傾けて日常生活を送ることを心がけていきましょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)