認知症の方への成年後見人制度 悲しいトラブルが多発する現実…
2016.10.12
成年後見人という言葉を知っていますか? 一見文字だけ見ると介護とは関係なさそうですが、実は大アリ。認知症などによって判断能力を著しく欠く方々に対し、成年後見人を選出することで契約のような判断能力を必要とする行為に対応できるようにする制度です。将来、家族の誰かが認知症になってしまうことや自身がなることもあるでしょう。この機会に一緒に勉強しましょう。
成年後見人とは? 介護と関係あるの?
認知症などで判断能力が落ちている場合、お金の管理や相続に関する話し合い、また何らかの契約を行うのは難しいですね。明らかに悪質な営業だったとしても、それに気づかないまま契約をしてしまう可能性もあります。
そんな方のために代理で上記のことを行う支援者を立てる制度のことを成年後見制度といいます。 お金などの管理を任せるため、やはり信頼のおける親族が成年後見人となるケースが最も多く、全体の約4割を占めています。続いて多いのが弁護士や司法書士です。
任意後見人と法定代理人
成年後見制度は、本人に判断能力がある段階で後見人を選ぶか低下してから選ぶかで、「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類に分けられます。
■任意後見人任意後見制度とは、判断能力がまだある段階で、本人自らが文字通り任意に支援者を選ぶ制度です。認知症が進行したなどで判断能力が低下してしまった場合のことを考え、安心して任せられる方を選ぶことが大切です。
また本人が任意に選んだあと、しっかり後見人としての仕事を行なっているかチェックする「任意後見監督人」と呼ばれる方を家庭裁判所が選任します。
任意といっても、未成年者や行方不明者、また破産者などは後見人として認められません。
法定後見制度とは、判断能力がすでに低下している方のために、法律によって誰が支援者となるか決める制度です。この場合、家庭裁判所が支援者を選任し、その後の活動をチェックすることになります。
親族がなるケースが減ってきている……
自身の将来のことを考えて任意に後見人を選ぶ場合、あなたは親族に頼むか専門職の方に頼むか、どちらを選択しますか? 悲しい現実ですが、前述したトラブルは自身の身に起こらないとは限りません。 もし特に「この人に後見人を任せたい」という希望がないのであれば、専門職の方に任せるのが安心でしょう。
中には、お金を横領するために後見人に名乗り出てくる方もいるようです。自身ではなく親族の誰かが後見人を探している場合は、上記のようなトラブルもあるということを助言してあげてください。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)