【シニア世代のおやつ事情】おやつの役割とは?
2016.9.7
9月の第一水曜日は「世界老人給食の日」です。2016年の「世界老人給食の日」は9月7日(水)です。
シニアのあんしん相談室では、全国2,008人を対象に「食」の中でも「おやつ」にフォーカスした「おやつに関するアンケート」を実施しました。調査結果は下記の通りです。
年代で意外と異なる!おやつを食べるタイミング
「おやつはいつ食べますか?(複数回答)」という質問で、年代別にいつおやつを食べているのかを調査しました。50代、60代、70代以上共通で、「小腹がすいたとき」「くつろいでいるとき」「お茶・コーヒー・紅茶を飲むとき」が上位を占める結果となりました。しかし、詳しく見てみると、「小腹がすいたとき」は年代が上がるとともに減少しています。逆に、「くつろいでいるとき」や「お茶・コーヒー・紅茶などを飲むとき」では年代が上がるとともに増加傾向にありました。
現役で働いている人が多い50代では小腹が空いたときに、そして現役を退いた人が多い60代、70代以上になると、リラックスタイムにおやつを食べる傾向が高くなることが伺えます。
では、普段のおやつとして、何が食べられているのでしょうか?シニアが普段食べているおやつについて調査をしました。
50代以上で最も食べられているおやつは「米菓」。年代があがると、「やわらかいもの」が増加傾向に
「直近1ヶ月で最も食べた頻度が高かったおやつを教えてください」という質問で、50代以上の方が普段最もよく食べるおやつを調査しました。(以下、この質問の回答を「よく食べるおやつ」と表す)
その結果、50代以上の全年代で「米菓」が1位となり、60代で最も回答が多く、70代以上になると食べる割合は微減傾向にありました。70代以上になると、50代、60代では上位に入らなかった「果物・ドライフルーツ」や「焼き菓子」「パン」などの比較的やわらかい食感のものも上位に入る結果となりました。年齢が上がるともにあごの力や歯が弱くなることでこのようなやわらかめなおやつを好む傾向が高くなるといえそうです。
さらに、今回の調査ではシニアが“本当に食べたい”と思っているおやつについて調査しました。普段シニアが食べているおやつは、果たして本当に食べたいおやつなのでしょうか?
シニア世代にも「洋菓子」は大人気!いつも食べられない理由は「カロリー」?
X=「本当に食べたいおやつ」の割合
Y=(「本当に食べたいおやつ」の割合)-(「よく食べるおやつ」の割合)
「「何を食べても良い」と言われたときに、最も食べたいと思うおやつを教えてください。」という質問で、50代以上の方々が最も食べたいと思っているおやつを調査しました。(以下、この質問の回答を「本当に食べたいおやつ」と表現)。
50代は1位が「洋菓子」(28.5%)、2位が「和菓子」(12.6%)、3位が「アイス・涼菓子・ゼリー」(9.9%)。60代は1位が「和菓子」(22.9%)、2位が「洋菓子」(20.6%)、3位が「米菓」(12.1%)。70代以上では1位が「和菓子」(30.7%)、2位が「洋菓子」(17.5%)、3位が「果物・ドライフルーツ」(10.1%)という結果になりました。
50代以上全ての年代で「よく食べるおやつ」と「本当に食べたいおやつ」は全く異なる結果となりました。特に、「よく食べるおやつ」でどの年代でも5位以内にランクインしていなかった「洋菓子」が、「本当に食べたいおやつ」では1位または2位となったことには注目です。この結果から、一見和菓子を好みそうなシニア世代も普段はあまり頻繁に食べられないものの、「洋菓子を食べたい」と思っている人は比較的多いことが分かります。
では、なぜ「よく食べるおやつ」と「本当に食べたいおやつ」はこれほど差が出るのでしょうか。
おやつを食べるときに気にしていることを調査しました。その結果は下記のようになりました。
【50代】1位:「味」(39.7%)/2位:「カロリー」(35.4%)/3位:「特に気にすることはない」(30.4%)
【60代】1位:「味」(39.7%)/2位:「カロリー」(38.9%)/3位:「特に気にすることはない」(29.9%)
【70代以上】1位:「味」(41.8%)/2位:「カロリー」(37.0%)/3位:「時間帯」(29.1%)
※選択項目は「原材料・カロリー・栄養成分・味・量・時間帯・製造地域・その他・特に気にしない」の9項目(複数回答)。
50代以上の全年代について、共通して「味」「カロリー」を気にしていることが分かりました。
「本当に食べたいおやつ」で上位にあがった「洋菓子」は、一般的にバターや砂糖などが多く使われ、米菓や和菓子などと比較すると、カロリーがとても高いものが多いです。「カロリー」を気にする人が多い結果、「よく食べるおやつ」と「本当に食べたいおやつ」の差がこれほど異なるものになったのではないかと考えられます。
実際に、「カロリー」を最も気にするという人の具体的な理由を聞いてみました。
- ・間食なのでなるべくカロリーが少なめなモノをチョイスしたい(50代女性)
- ・年齢的に代謝が落ちているので、カロリーオーバーにならないように気をつけている。(60代女性)
- ・カロリーが高いと肥満につながるので一番気になる。(50代男性)
- ・年齢的に、体重増加を抑制したく、カロリーが気になるところです。(70代以上男性)
では、このような気にする項目が多くあるにも関わらず、なぜおやつを食べるのでしょうか。
おやつを食べる理由について聞いてみました。
年齢とともに変わるおやつの役割。年齢が上がるとともに「気分を変えるツール」の役割が強くなる!
「おやつは何のために食べますか?」という質問をしたところ、年代別におやつを食べる理由に差が出ることが分かりました。
「空腹を満たすため」や「ストレス解消のため」「自分へのご褒美のため」は年齢が上がるとともに減少していました。対して、「気分転換やリラックスするため」は年齢があがるとともに大幅に増加しています。現役世代である50代は、仕事で体力や精神力を使い、その分お腹が減ったりストレスを抱えたりする機会も多く、エネルギー補給やストレス発散の手段としておやつを食べているのかもしれません。対して、現役を退いた人も多く、食も細くなりがちな60代・70代以上の人にとって、おやつは「お腹を満たすため」「ストレスを解消するため」というよりも“気分をかえるためのツール”としての役割が強くなるのかもしれないですね。
年齢によって、おやつに求める役割が異なっていることがこの結果から見受けられます。
最後に、おやつに関するエピソードを聞いてみました。家族での取り合い、懐かしのおやつ、ほっこりするものまで、人それぞれでおやつにまつわるエピソードは様々持っているようです。
- ・家族が話題のスイーツを買ってくると盛り上がる。 いいコミュニケーションツールとなる。(60代/男性)
- ・子供の頃食べたせんべいがスーパーで売っていなくて、最近ネットで見つけて懐かしくて定期的に買っている。(60代/女性)
- ・小さい頃のおやつは三度の食事より楽しみで3兄弟の末っ子だったため小さいながらも等分に分けられたおやつが嬉しかったのを覚えています。(60代/女性)
- ・美味なるものは豊かさを与えてくれます。(60代/男性)
- ・孫と一緒が多いので自然と孫の趣味に合わせてしまう。(70歳以上/男性)
おやつは、空腹を満たしたり、リフレッシュしたりするためのものだけでなく、コミュニケーションを円滑にするための潤滑油のような役割もあるようです。 「食」は、生きていくうえでとても重要な要素です。高齢になると、食が細くなると一般的に言われていますが、うまく「おやつ」を生活の中に取り入れて、健康維持や周囲とのコミュニケーション作りに活用してみてはいかがでしょうか。
調査概要
- ・調査対象 :50代以上のウェブクルーリサーチ会員
- ・有効回答数 : 2,008
- ・調査方法 :インターネットリサーチ
- ・調査期間 :2016年7月21日(木)~7月24日(日)
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)