オーティコン補聴器フェスで最新補聴器を体験!
2016.7.6
「オーティコン補聴器フェス」というイベントが2016年7月5日に秋葉原で開催されました。
このイベントのメインコンテンツは、「Opn(オープン)」という新商品の発表。これは従来の補聴器と比較して、疲れやすさは20%軽減、会話の覚えやすさは20%向上、会話の理解が30%向上されたといいます。
新商品発表だけでなく、会場には、耳の聞こえ・補聴器の歴史など様々な展示や最新技術を疑似体験できるブースが用意されていました。
そんな様々なコンテンツが用意されたイベントの様子をここではお伝えします。
オーティコン補聴器フェスの開催概要
▼日時
2016年7月5日(火)12:30~18:00▼会場
ベルサール秋葉原1階イベントスペース▼イベント概要
オーティコンは1904年デンマークに創設された補聴器メーカーです。現在、その補聴器や製品の数々は日本を含める世界120ヶ国以上で使用されています。
この度、そんなオーティコンが、聞こえや難聴の理解促進と最新補聴器の紹介を主な目的としてイベントを開催しました。
一般の人も足をとめる、とてもにぎやかな会場の雰囲気
会場はベルサール秋葉原。
人通りの多い通りからパッと見て分かる位置でイベントは行われていました。
「補聴器なのでそこまでにぎわってなさそう…」と内心思っていたのですが、そんな考えは見事に裏切られ、イベント会場はとても盛り上がっていました。
会場内には、様々なコンテンツが用意されていました。聞こえについての基礎知識、補聴器に関する基礎知識、補聴器の歴史、オーティコンの補聴器など数々の展示、そして最新の製品「Opn(オープン)」の紹介パネルやバーチャル体験ブースなどなど。
また、聞こえや補聴器に関するクイズやスタンプラリーなど、補聴器販売店の方々はもちろん、一般の方にとっても分かりやすく楽しい内容でした。
さらに、補聴器に関して全く未知であろう通りすがりの方も足を止めてイベントに来られている姿も見受けられました。
これまでの補聴器の常識を大きく変える「オープンサウンドパラダイム」とは?
オーティコン補聴器プレジデントの木下聡様(オーティコン補聴器プレジデント)から「オープンサウンドパラダイムについて」のお話を聞きました。
補聴器をめぐる現状や補聴器のイメージ、そして補聴器の未来について話されました。下記内容はお聞きした内容の要約となります。
補聴器の100年以上の歴史を振り返る
補聴器の歴史は古く、1900年ごろから始まりました。
集音器の時代から、今回の「Opn(オープン)」にいたるまで、様々な補聴器の変遷がありました。小型化、デザインの多様化、アナログからデジタルへの変化など、使う人のニーズや要望に合わせて進化し続けてきた補聴器の歴史を知ることができました。
●1900年ごろまで
<集音器>トランペット型の集音器や、ホーン型の集音器などがありました。
集音部分からだんだん細くなる管を経由して、耳に音が伝わります。
●1940年
<オーティコン初の補聴器が発売>真空管アンプで、バッテリーはアンプとは別に接続されていました。
デンマークではじめて製造された補聴器でした。
●1950年
<主流はポケット型補聴器>トランジスタの開発により、補聴器は胸ポケットに入るほど小さくなりました。
●1960年
<耳かけ型補聴器>●1980年
<耳あな型補聴器>はじめての耳あな型は本体と耳栓が別になっていました。
本来の耳の集音位置と同じところに装用できるようになったのはこのころからです。
●1980年~1990年
<オーダーメイド補聴器>●1990年~2000年
<全自動アナログ型補聴器><フルデジタルの耳かけ型・耳あな型補聴器>
ICチップでデジタル信号処理されることにより、補聴器の高性能化・小型化が進んでいきます。
<耳あなに完全に収まる補聴器>
小型化が加速し、耳あなに完全に収まる補聴器が登場しました。
●2000年~2010年
<人工知能搭載補聴器><デザイン補聴器>
見えてもおしゃれな補聴器をコンセプトに開発され、ユニークなデザインは注目を浴びました。重さはたったの2g。カラーバリエーションも24種類ありました。
<ワイヤレス補聴器>
●2010年~2016年
<見えない耳あな型補聴器>小型化がさらに加速。これまでよりさらに耳の奥におさまる小さい補聴器が登場し、「外から見えない」を実現しました。
最新補聴器をバーチャル体験!
バーチャル体験では、従来の補聴器と最新機能が搭載された補聴器の聞こえを比較することができました。
従来のものは「指向性」と呼ばれる機能が基本。これは、対話をしている相手(正面の会話)にフォーカスをあてて音を持ってくるというものです。そのため、後ろから声をかけられていても気が付かなかったり、自分が向いてない方向の人の声が聞こえないなどの不便さがありました。
対して、最新の機能は「オープンサウンドナビゲーター」と呼ばれる機能が搭載されています。この機能により360°あらゆる音が入ってきます。入ってくる音が多くなっても、1つ1つの音のバランスが取られているためノイズに邪魔をされずに聞き取ることができるのです。
体験をしてみると、全く違いました。
「これほどまでに聞こえ方が違うのか!」とびっくりするほどでした。
疑似体験をしたのは、大人数で食事をしている場面でした。
私はテーブルの真ん中にいました。従来の「指向性」の補聴器の場合、左にいる人と話していると右の人の話は入ってきません。そのため、話しかけられていても気が付きません。さらに、テーブルの左端に主役、右端に司会者がいる状況では、主役に目を向けていると司会者の声は全く入ってこないのです。
しかし、「オープンサウンドナビゲーター」の機能が付くと、自分が向いていない方向の声も入ってきます。コップが落ちて、ガラスが割れる音も聞こえてきます。テーブルの左端にいる主役に目線を向けていても、右端にいる司会者の声も入ってきます。
今回のバーチャル体験では、2つのことを実感することができました。
1つ目は、聞こえが良くないことがとても不自由であること。
そして2つ目は、補聴器の機能によって聞こえ方はとても差が出るということです。
補聴器フェスに行ってみて思ったこと
今回、補聴器に関するイベントに初めて参加しました。
補聴器というと、「高齢の方が付けるもの」というどこかネガティブなイメージを持っていました。高性能な技術が搭載されているということは知りながらも、効果は限定的なものだろうという固定観念があったのも事実です。
しかし、今回イベントに参加することで、それはとても良い意味で裏切られました。
小指くらい小さい補聴器に、多くの技術が盛り込まれていること、そして機能はどんどん進化していることを知りました。
また、バーチャル体験を通して、耳の聞こえがよくないことの不自由さ、補聴器を装用することで改善される聞こえを実感しました。(あくまでバーチャル体験なので、実際の補聴器に関しては個人差があります。予めご了承ください。)
これから65歳以上の高齢者はさらに増えます。補聴器と聞くと、「わずらわしい」「価格が高い」などと敬遠してしまう人は少なからずいると思います。
しかし、耳の聞こえが少しでも悪くなったと感じたときには、躊躇せずに少しでも補聴器に触れてみるのはいかがでしょうか。
もしかしたら、補聴器を装用することによって、より生活が豊かなものになるかもしれません。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)