知っておきたい高齢者の身体的変化と過ごしやすい環境
2016.6.29
年齢を重ねると、人は身体的に変化が生じます。今回は高齢者の身体的な変化についてまとめました。介護をする上で、介護を受ける方の身体的な状況を把握するのにご参考にしてください。
また身体的能力の低下に対応しやすい環境づくりのポイントについても挙げました。
高齢者の身体的な変化
■動作・思考が鈍くなる
年齢を重ねると、あらゆる面で身体的な能力が落ちてしまいます。特に反射神経や平衡感覚が低下するため、突然立ち止まる・駆け出すといったとっさの行動を取りにくくなります。
他にも理解力や記憶力が低下するため、コミュニケーション能力が大幅に低下するのです。
■周辺視野などの低下
加齢によって生じる老人性白内障(加齢性白内障)は、目の水晶体が白濁し眩しく感じやすくなるのです。特に暗い場所では視界を奪われて行動が不自由になります。また緑内障の場合は、視野が極端に狭くなります。階段や信号など、周囲への注意が特に必要な場所ではサポートを欠かさないでください。
■耳が遠くなる
高齢者の耳が遠くなるということは、一般的によく聞くことでしょう。実際に高齢者は、高い音を聞き取りにくくなります。
また「さ行」「は行」「か行」などのいくつかの子音は、聞き分けることが難しくなるのです。
さらに言葉を聞き分ける能力も年齢を重ねると共に、落ちていきます。会話の声が聞こえても、誰が何を言っているのか聴き取れないという状況が起こります。
■感覚が鈍る
高齢者は、痛みを感じたり熱を感じたりすることが難しくなってきます。表情の変化には細心の注意を払ってください。言葉数が極端に少なくなったりした場合にも用心が必要です。
■モノが飲み込みにくくなる
高齢者が、食べ物を喉に詰まらせる事故は珍しくありません。これは高齢者の噛む力が弱まったり、唾液分泌量が低下したりすることが要因です。また年齢を重ねることで咽頭が下がります。そのため、気道にモノが入りやすくなります。
高齢者が過ごしやすい環境
■トイレに行きやすい
立ち上がるなどの動作が億劫になりがちな高齢者にとって、トイレが遠い場所にあると不安を感じやすくなります。寝室や居間などから近い場所にトイレがあることが望ましいでしょう。
■気温の変化に対応できる部屋
高齢者は暑さや寒さに関しても鈍感になっています。そのため、体調不良の原因となりやすい室温にはことのほか注意が必要です。なるべくエアコンを利用せずに、風通しや断熱といった室内の気温を保てる環境を作ってあげてください。
■家族と会話しやすい
周りの家族や友人たちとの関わりが少なくなると、人は病気を招く恐れがあります。いつでもみんなの顔が見えるように高齢者のベッドを家族が集まりやすい場所に設置してはいかがでしょうか。
今回紹介した高齢者の身体的な変化というのは、誰もが迎える可能性のあることです。
相手の身体的・心理的な変化を軽視してしまうと、介護することすら難しい状況を招きかねません。
反対に相手を敬う気持ちを欠かすことなく介護に取り組むことで、お互いにとって良い介護に繋がることでしょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)