介護ロボットを導入する高齢者施設が増加傾向なのはなぜ?
2016.6.17
近年介護施設において、介護ロボットを導入するところが増えつつあります。介護業界の人員不足を解決に導くと期待されている介護ロボットは、現場でどのような役割を担っているのでしょうか。
今回は、高齢者福祉施設がロボットを導入する理由と介護ロボットの種類について紹介します。
介護ロボットが増加している理由
介護施設で働く方と介護を受けている方が、介護ロボットに期待することは主に2つの役割です。介護を受ける側の心理負担の軽減・介護をする側の肉体的負担の軽減になります。
・介護を受ける側の心理負担の軽減
これまで介護の現場では「介護は人の手でするもの」という認識がありました。ですが、あるアンケート調査によれば、大半の方が「介護ロボットによる介護を積極的に受けたい」と答えたのです。 その理由として挙げられたのが、ロボットが相手だと入浴や排せつの介助に気を遣わなくて良いという点です。これによって介護ロボットによる介助が、要介護者の心理負担を軽減してくれていることが分かりました。・介護をする側の肉体的負担の軽減
介護を行う現場では、肉体労働が基本です。介護の対象者の多くは大人で、子どもに比べて十分な体重があります。そうした方を相手に入浴や排せつの介助を行っている介護者は、腰痛になるなどの負担の代償を受けています。生活動作を介助するロボットが導入されることで、そうした肉体的な負担が軽減されるのです。導入されるロボットの種類
老人ホームやデイサービスで導入され始めている介護ロボットは、大きく分けて3種類になります。「介護支援型ロボット」「自立支援型ロボット」「コミュニケーション型ロボット」です。
・介護支援型ロボット
主に要介護者の生活行動である食事や排せつ・入浴を支援することを目的としたロボットです。スタッフは対象者を抱きかかえて介助を行いますが、肉体的に大きな負担がかかります。介護支援ロボットは、ベッドで介護者を抱き起したり入浴の際に浴槽につけたりといった行動をアシストしてくれるのです。
・自立支援型ロボット
自立支援型ロボットとは、リハビリや歩行といった介護者の自立を促すことを目的としたものです。施設利用者がリハビリ行動を行っている際、筋肉に電気刺激を与えて麻痺した部分の動きを補助するロボットがあります。また、高齢者の身体に負担をかけずに移動をアシストするのも自立支援型ロボットの役割の一部です。
・コミュニケーション型ロボット
近年特に注目されているのが、コミュニケーション型ロボットです。高齢者や要介護者と会話を通してコミュニケーションを取ります。また指先を器用に動かして、バイオリンを弾くロボットも導入されています。
介護ロボットの今後
まだまだ安全性などの課題点が多いために、介護ロボットは思ったほど実用化にこぎつけていません。ですが、大学や企業といったさまざまな場所で研究開発が続けられています。
現在のところ、装着して使用することで介護者の力をアシストしてくれるロボットや、家電やベッドなどを簡単に操作できるリモコン代わりになるロボットなどが研究中です。
さらなる高齢化が進む日本において、介護ロボットがより身近なものになっていくでしょう。今後も介護ロボットが、介護施設において重要な役割を担っていくことは間違いありません。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)