言葉が出てこない…それって認知症じゃなくて失語症かも!
2016.5.13
高齢者になると、当然ですが病気になりやすくなります。本人に自覚がない場合もあるので、その際には、周りの方が適切なアドバイスをして治療を促すことも大切です。
そのためには、医療面に関する知識も最低限必要になるでしょう。今回は認知症と間違えやすい「失語症」についてのお話です。
家族に「言葉が出にくい」症状が見られたら…
あなたの両親や兄弟の中で、日常会話の最中にいきなり「あれ、これ何だっけ?」と言葉が出づらそうにしている人はいませんか? たとえあなた自身のことではなくても、「ひょっとしたら認知症の前兆?」と、内心疑ってしまいますよね。 こういった言葉が出ないケースは、認知症ではなく失語症の場合があります。
参照:脳卒中と言葉の障害失語症と認知症の違いとは?
失語症と認知症はよく混同されがちですが、症状は明確に違います。
認知症は、新しい事が記憶できず、見当識(いつ、どこで、誰が、などの状況把握)が分かりにくくなる認知機能の障害です。
これに対して失語症は、脳の言語機能中枢が脳血管障害(脳出血など)によって損傷した結果、言語機能(聞く・話す・読む・書く)に異常をきたす脳の機能障害です。認知症と違って見当識は通常時と変わりませんが、具体的な名称が出にくいのはそのためです。
失語症は大別すると「運動性失語」と「感覚性失語」の2種類あり、
「運動性失語」は他人の話は理解できるものの、適切な単語表現が思い浮かばない状態。もう一つの「感覚性失語」はその反対で、意思はしっかりしているのに他人の話を聞いていても内容が何だかわからなくなる状態です。
場合によっては認知症にも…
失語症の人と適切なコミュニケーションを取る際は、以下の3点に留意するとよいでしょう。
- (1)「はい・いいえ」で返答しやすいように聞き方を工夫する
- (2)言葉の言い間違いを察する
- (3)普段の習慣や好みをよく知っておき、間違ったと思ったら確認してみる
最も注意すべきなのは、言葉の出にくい人を無神経に叱ったり注意したりする行為です。
うまく話せないストレスは本人が一番感じているのですから、注意されたことで心に壁を作り、人との交流を減らし、そこからうつ症状や認知症を招く場合もあります。見守る側の私たちとしては心得ておくべきことでしょう。
参照:みんなのメンタルヘルス総合サイト 認知症記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)