超過分が払い戻される? 高額介護合算療養費制度について紹介
2016.5.6
介護や医療に関するサービスを両方利用している世帯の負担を軽減してくれる「高額介護合算療養費」という制度はご存知ですか? 被保険者を対象に、1年の間に医療保険と介護保険で支払った自己負担額を合わせた金額が、一定額を超えた際に払い戻しが発生するというものです。
今回は、この高額介護合算療養費について紹介したいと思います。
高額介護合算療養費とは
高額介護合算療養費とは、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額が、設定された限度額を超えた際に払い戻される支給金のことです。ここで言う1年間とは、毎年8月1日から翌年の7月31日までの期間を指します。支給については、介護保険者、医療保険者でもある市区町村や特別区などが、自己負担額に応じて支給してくれます。
自己負担の限度額
自己負担限度額について、負担能力に応じて区分化されています。
※標準報酬とは、被保険者が事業主から受ける給与の月額です。年金などは含まれません。
ⅰは【70歳以上の方だけの世帯】を、ⅱは【70歳未満の方が含まれる世帯】を表します。
- (標準報酬月額83万円以上の世帯) ⅰ)67万円 ⅱ)126万円
- (標準報酬月額53万~79円の世帯) ⅰ)67万円 ⅱ)126万円
- (標準報酬月額28万~50万円の世帯) ⅰ)67万円 ⅱ)67万円
- (標準報酬月額26万円以下の世帯) ⅰ)56万円 ⅱ)67万円
- (低所得者Ⅰ=年金収入のみで生活している場合・必要経費や給与控除を差し引いたときに所得が0円になる場合等) ⅰ)19万円 ⅱ)34万円
- (低所得者Ⅱ=低所得者Ⅰ以外で、世帯全員が住民税非課税の場合) ⅰ)31万円 ⅱ)34万円
自己負担限度額から支給までの高額介護合算療養費の考え方の例を挙げます。
まず対象とするのは、標準報酬月額28万円〜50万円の世帯の70歳以上のケースを例にとります。
仮に、その世帯の1年間の負担額が、介護保険で40万円、医療保険で40万円、計80万円だとします。
そして、対象の世帯の自己負担限度額は上でご紹介した数字を見てみると、67万円とされていますね。
つまり、実際にかかった1年間の負担額80万円を負担限度額の基準とされている67万円で引いてあげた数字、13万円が高額介護合算療養費として戻ってきます。
【対象外となる場合や費用について】
また支給金を受け取ることができない条件もあります。その場合は下記の通りです。
- ・医療か介護のどちらかの自己負担が0円の場合
- ・限度額を超えた金額が500円以下の場合
- ・入院時の食費や居住費
- ・差額ベッド代など
- ・介護保険の利用上限額を超えた金額
支給までの流れ
- 1.介護保険者(市区町村)に支給申請書兼自己負担証明書交付書を提出する
- 2.介護保険者に自己負担額証明書を交付してもらう
- 3.医療保険者(健康保険組合など)に対して自己負担額証明書の書類を添付し、支給申請書を提出
- 4.医療保険者から介護保険者に支給額の計算結果が送られる
- 5.医療保険者と介護保険者から被保険者に対して、支給決定通知書の送付と現金が支給される
申請時の必要書類
- ・高額介護合算療養費等支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書
- ・自己負担額証明書
- ・本人確認ができる身分証明書(運転免許証など)
- ・マイナンバーが確認できる書類
- ・後期高齢者医療被保険者証
- ・認印(朱肉を使用するもの)
- ・振込先となる銀行などの口座が確認できるもの
- ・(代理人が申請や受領を希望する場合のみ)委任状
以上、高額介護合算療養費制度の内容について説明しました。 もっと詳しく知りたい場合は役所にご相談されることをお勧めします。
まずは、お住まいの市区町村に自己負担額証明書を交付して頂くところから始まります。 高額介護合算療養費制度を上手く利用して、医療費や介護費の負担を減らしたいところですね。
【「介護保険などの制度」に関連する記事はこちら】
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)