その症状はせん妄かも! せん妄と認知症の違い
2018.6.22

以前「夜に症状が出る夜間せん妄とは? 治療法と対策について」という記事で、夜間せん妄について紹介しました。
せん妄は認知症と似たような特徴を持っている病気です。症状が似ているため、せん妄と認知症を間違えてしまうことが多くあります。せん妄と認知症の違いはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、せん妄と認知症の違いや、せん妄の種類などについてご紹介します。
せん妄と認知症の違い
せん妄と認知症は症状こそ似ていますが、別の病気です。まずはせん妄と認知症の違いを見ていきましょう。
【せん妄】
せん妄とは、突発的に時間や場所が分からなくなったり、注意力や思考力が低下したりといった症状の出る状態のことを言います。病気や薬、手術の影響や環境の変化などが原因となって発症することが多いです。
症状には大きく2種類あります。一つは「過活動型」といい、幻覚を見たり、興奮状態に陥ったりといった症状が出ます。もう一つは、「低活動型」といい、意識がぼんやりとして無気力状態になるなどの症状が出ます。
せん妄は突然症状が出ることが一般的です。1日のうちで症状の変化に差があり、適切な処置を行うことで、短期間のうちに症状を緩和することができます。
【認知症】
認知症は、記憶障害や見当識障害といった症状が出る病気です。幻覚や幻聴などの症状が出ることもあり、せん妄と間違われることが多いですが、認知症は症状が徐々に出るという特徴があります。
1日のうちで症状の変化の差が小さく、発症すると回復しないというのが認知症の特徴です。
せん妄と認知症の違いは、以下の通りです。
- ≪せん妄≫
- ・発症した時期が特定できる(突然発症する)
- ・適切な処理により症状は回復する
- ・1日のうちで症状の変化がある
- ・意識障害がある
- ≪認知症≫
- ・発症した時期が特定できない(徐々に症状が出る)
- ・症状は回復しない
- ・1日のうちで症状の変化が小さい
- ・基本的に意識ははっきりしている
せん妄の種類
せん妄にはいくつかの種類があり、それぞれ発症する時間帯や原因によって名前が変わります。
【夜間せん妄】
昼間は症状がないのに、夕方以降になると症状が出る
【術後せん妄】
手術を受けた後に発症する
【薬剤性せん妄】
病院で処方された薬などにより発症する
【アルコール離脱せん妄】
アルコール依存症の方が、アルコールを断つことで発症する
せん妄が出たら治療を受けよう
せん妄の治療法には、薬物療法や環境調整(医療者や家族がせん妄患者に話しかけたり、部屋を明るくしたりするなど、患者が安心できる環境を整えるといった方法)などがあります。
せん妄を治療するためには入院が必要となる場合が多いですが、治療などにより回復が見込めるものです。ご家族にせん妄の症状が出ていると感じたら、専門機関での検査や治療を受けるようにしましょう。

せん妄は認知症やうつ病と症状が似ているため、ご家族にせん妄の症状が出ることで大きな不安を抱いてしまうでしょう。しかしせん妄は適切な治療を行うことで治る病気です。医師に検査をしてもらい、適切な治療を受けるようにしてください。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)